「防災拠点の耐震化促進資料」の

公開にあたって

 

 

 平成16年10月に発生した新潟県中越地震で震度6以上を観測した地域において、4箇所の市町村役場が地震の揺れにより被害を受け、使用できない状態となり、災害の初動対応に大きな支障を来しました。この4箇所の建物はいずれも昭和56年以前に建てられた、いわゆる旧耐震基準の建築物であり、改めて、防災拠点となるべき施設の耐震化の必要性を痛感させられたところであります。

さて、このたび東京大学都市安全研究センター(ICUS)とタイアップし、関係建築事務所・建築事業者のご協力を得て、「防災拠点の耐震化促進資料」を取りまとめることができました。この事業は、いわゆる産−官−学の三者連携事業の魁として意味深いものでもあります。

これまでも、多くの建物耐震化事例集が出版・公表されておりますが、この「防災拠点の耐震化促進資料」は、災害時に防災拠点としての機能を果たすことが期待されている市町村庁舎、学校校舎・体育館、消防署等の特徴的な構造を持つ建物を対象とし、耐震診断・改修工事が必要かどうかの判断、耐震診断・改修工事の効果的な実施方法について、代表的な工法の解説、工事の効果、必要な費用・工期、工法の選定等についてわかりやすく記述するとともに、実際に耐震補強工事が行われた事例を収録しています。

この資料が、地方公共団体の防災行政に携わる方々をはじめ、広く関係者の方々に活用され、防災対策の推進と地域の安全に大きく寄与できることを心から期待するものであります。

2005年 消防庁長官